一般の部は「クイズサークル椿」が前評判通りの地力と、団体戦での勝負強さを発揮して2連覇を果たした。準決勝前、司会の伊沢拓司から「過激に、賑やかに、クイズの場を盛り上げる」と評される雰囲気が特徴だが、サークルのリーダー山口尚希は「適当な振る舞いをしていますが、楽しんでいるのは間違いないです。感謝の念を持ちながら臨んでいます」と苦笑いを浮かべる。
abcで予選1位・優勝を経験している廣海渉、同大会の大会長を3年間務めた萬谷祥輝ら、現代クイズ界を支える関西地区のオールスターメンバーが集う。学生時代から信頼関係を培い、何よりチームワークが高いサークルは、この秋、クイズサークル日本一決定戦「天9」の開催も控えている。
奈良県在住で、現在は内科医を務めるリーダー山口尚希(31)が、強さの秘密の一端を語った。
―椿の団体戦の強さの秘訣は。
abcで活躍したメンバーが多く、個人のクイズ力がある。そして、一人一人、特定分野への強みもあります。地の知識を持ちつつ、特定分野の強みも生かすことで、チームを組み立てていけます。
―個の力を10人分足し算した数値もトップということでしょうか。
僕はそう信じています。
―10人のメンバー選定は。
ジャンルもそうだし、クイズの傾向によって、スピードにたけたメンバー、深い知識を持っているメンバーなどを考えて決めています。5つの枠に関しては、スポーツに強いメンバーや、医者が2人いるので、その2人は分けるなどの形を取っています。
―昨日のabcを含めて、学生・社会人ともに関西が活況のように見えます。
僕は、関西と関東の差はほとんどないと思っています。
ただ、関西にいる身として、感じていることを挙げるなら、今回準決勝で対戦したOttiのメンバーも多数、椿にも所属しています。Ottiは大学を卒業して間もないメンバーによる関西のサークルで、社会人と現役学生の世代の交流が頻繁に行われていると思います。そういうところで、学生は社会人ならではの知識を得て、社会人は学生の押しのスキルや、ポイントなどを学べます。そういう相乗効果が起きているのではないでしょうか。
―今回の椿のメンバーは全員社会人。社会人となり、クイズの活動や勉強に割く時間はありますか。
僕個人の話をすると、(時間に融通が利きやすい)オンラインクイズなどをしたりしています。問題集を読み込む時間を取るのはなかなか難しいですが、逆に社会人だからできる知識の取り入れ方を、うまく生かしていると思います。また、みんな学生のときに、問題集を読み込んでいて、地の力をつけている、というのはあると思います。
その上で、普段の例会などで、知らなかった知識を仕入れています。時事問題などもなるべく追うようにしています。
―AQLの魅力をどのように感じていますか。
(これまで)毎年行われる団体戦はなかったという気がします。開催されることの感謝はあります。地域別で開催する良さもあり、最終的に他の地域のサークルの皆さんとたくさん押す機会が得られたのは、本当にやっていて楽しかったです。
―サークル活動で、新型コロナウイルスの影響はありましたか。
コロナで半年間、サークルとしての活動は完全に止まりました。2021年から状況を見ながら、オンライン、オフラインのどちらかを選び、例会を開催しています。
―椿が、サークルとして大切にしていることは。
予選なんかでは、適当な振る舞いをしていますが、楽しんでいるのは間違いないんですよね。それは僕らのキャラクターでもあります。クイズや大会の舞台を単純に楽しんで、感謝の念を持ちながら臨んでいるのは間違いないです。普段のサークルの活動も、世代を超えた人の交流を楽しんでいます。
―AQL2連覇、天でも優勝。団体戦で圧倒的な強さですね。
2014年に椿が立ち上がって、関西で、abcで活躍してきたメンバーが集まれるサークルを作れて、そういう面子はみんな、大学生のときに苦楽をともにしてきた。仲間意識は、もともと強いというのもあります。
―山口さんにとって、クイズって何ですか。
一生ものの趣味です。人生を懸けるもの、とは言えないけれど、人生の中で、一隅を占めているというか、それなしでは過ごしたくない存在です。そういう中で、日々の生活がクイズに役立っていると、常々感じています。生活の一部になっていますね。
(記事・三木智隆)