全日本クイズリーグ「AQL」の全国大会が2023年3月18日、東京都北区の北とぴあで開催されました。全国15地域と全国共通オンライン予選を合わせた、16の予選リーグを勝ち抜いたチームが一堂に集結し、ジュニアの部(全国137団体参加)は「灘校クイズ同好会」、一般の部(全国134団体参加)はクイズサークル「Qurio」が優勝しました。
今大会の様子はツイッターによる実況やYouTubeによる同時配信を実施。さらにジュニアの部、一般の部の準決勝からは都内のスタジオに場所を移して、司会にはQuizKnockの山本祥彰さん、解説にはクイズ王として各所で活躍する徳久倫康さんを迎え、さらに臨場感のある映像で全国にお届けしました。
全国大会に参加されたチームの様子を、決勝の場に立ちあった山本さん、徳久さんお二人のインタビューを交えてレポートいたします。
■初出場チームが今年も活躍
午前に行われた一般の部では、全18チーム中5チームが初出場でした。その中のひとつ、プレーオフから勝ち上がってきた「うさぎ小屋」は前半無敗の勝利を重ねるなど、一般の部Bリーグで台風の目となりました。
午後に行われたジュニアの部では、全20チーム中4チームが初出場で、「青森高校」は昨年優勝の「東大寺学園」に勝利し、「開智中学・高校」と「西大和学園」はジュニアの部Cリーグ1位、2位でそろってベスト8と進出と、堂々たる活躍を見せました。
■チームの特色がある問題との相性
また、一般の部「山梨クイズ連合」は、全員が集まったのはオンラインでもオフラインでも今日が初めてという中で準決勝に進出しています。その要因を、「AQLの問題はどこも気合が入っており、予選リーグでは問題の個性とチームの個性が嚙み合った」と自ら分析していました。
「全国のクイズファンが、自らの手で作る、日本最大規模の早押しクイズの全国リーグ」というAQLのコンセプト通り、AQLのすべての試合は、参加するチーム自らが提出した問題を使用します。自分の試合にどの問題が使われるか、その相性で試合の結果がどう転がるかわからないというのも魅力です。
■ひとりが持つ力
もう一つ、AQLの魅力について「チームの得点が掛け算で積みあがるため、参加者一人ひとりが、自分の役割を果たせば勝てる。40問のうち1問でも取れるとチームに貢献できるルールがいい。自分の強みを生かして戦えるのがいいところ」と、解説の徳久さんは言います。印象に残った一問も、一般の部・決勝の最後のシーンとのこと。昨年の優勝チーム「クイズサークル『椿』」が4つの枠でリーチという状況で出題された一問、ボタンを点けたのは、「Qurio」で唯一リーチがかかっているものの、それまで点が積めていなかった枠でした。この一問の正解が「椿」の三連覇を阻み、「Qurio」を起死回生の優勝に導きました。
一問の大きさについては司会を務めた山本さんも、ジュニアの部・決勝での「結束バンド」の問題を挙げて言及していました(アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』に関する問題。灘中高のメンバーがグッズTシャツを着ているほどファンだったが、浦和高校が先んじて正解)。一つの正解が試合を大きく左右するAQLルールにおいて、相手が確実に得意とわかっている問題を奪うことは、チームをより勢いづけ、その先の展開を大きく変えることがあるので、と振り返っていました。
■自分のことのように喜べる大会
山本さんは、自身もAQLに出場したことがあり思い入れはある、またクイズを通してできた知り合いがいろいろなチームで活躍しているのを見ると嬉しく、身近に感じているとのことです。「AQLは団体戦であることが最大の特徴で、個人戦が主流の競技クイズにあって『他人の正解を喜べる』団体戦が、全国で開かれているのはいいことだと思う」と大会のこれからの広がりにも期待を寄せていました。
■最後に
徳久さんは、「ジュニア・一般ともに、AQLでは個々人がチームのために何をすれば勝てるかの理解が深まっていて、競った展開が多くなっている。誤答が出る時も、納得がいくような、試合の流れの中で必要なものだとわかるものが多く、こんなにいいクイズをしていても負けるのかと、傍から見ていて思う」と、参加者全体のレベルが上がっていることに触れ、解説として近くで試合を見られてよかったとも言っています。
喜びも悔しさも分け合うチームの姿が象徴的なAQLにおいて、劇的な幕切れが多かった今大会。勝敗の分かれ目になるのは皆さんにしか獲れない「一問」かもしれません。
文:AQLサポーターズクラブ有志