AQL埼玉レポート【2】「一般の部」

AQLの基本形式「コバトンナイン」

一般の部全勝対決となった、玉QvsOBA-Qの様子
一般の部全勝対決となった、玉QvsOBA-Qの様子

続いて、本番のAQL埼玉リーグ「一般の部」の主催者レポートになります。

 

AQL地方リーグ実施に当たって、AQL会長を中心とした全国側が決めるのは「全国進出の枠数」などの基本的な枠組みのみ。

地域リーグのルール詳細や運営方法は、その地域の代表者が、地域の事情を踏まえて決める仕組みになっています。

 

ですが、AQL会長として推奨ルールとしているのが、埼玉で行ってきた地元交流戦『コバトンカップ』で第4回大会から採用されている9チームによる持ち寄り団体リーグ戦(通称「コバトンナイン方式」)と言われる運営方法です。

 

「コバトンナイン方式」で行った埼玉リーグの企画書

「コバトン方式9」に参加する、参加者視点での一日。クリックすると詳細pdfが見られます。
「コバトン方式9」に参加する、参加者視点での一日。クリックすると詳細pdfが見られます。

「コバトンナイン」の特徴

やや小難しい説明となりますが、この方式の意図について深く説明します。(小難しいことが嫌いな方は、この一段落は飛ばしてください!)

 

「コバトンナイン」方式は、以下のメリットがあると考えています。

1.各チーム40問の問題を4回繰り返して読めば、それで全チームが320問全てのクイズを分け隔てなく楽しめる。

2.専任スタッフがなくとも成立する。

3.部屋の移動回数も少ない(3回移動すれば成立する)

4.ポイントを積んだ強い人のペナルティが大きくなるルールで、チームで力が劣る人ほど思い切って押しに行ける

5.過去に何度も行った方式であるため、システム等の整備もなされている(『新・一心精進』のサブフォルダに速報サイトが!)

 

9団体が40問の問題(しかも、普段仲間内で出し合った問題の使いまわしでもどうにかなる)さえ持ち寄れば、最大90人の参加者全員が個性豊かな320問の密度の濃い早押しクイズを楽しめることになります。

生み出した私自身が言うのもナニですが(苦笑)、この方式は「交流戦」向けの形式としての完成度が高く、私としては「コバトンナイン」方式を、埼玉だけでなく、全国のクイズ普及に活用してほしい」と思っており、その思いがAQL立ち上げのモチベーションの一つになったともいえます。

 

しかし、「コバトンナイン」方式は以下が課題・デメリットと考えています。

1.30人以上収容可能な3部屋の確保と、10端子以上の早押し機3台の確保が必要

2.9チーム以外だと成立が難しい

3.部屋の出入りを間違える人がいると、先に問題を聞いてしまう人が出て全て台無しになる(部屋の移動についてきちんと仕切らないといけない)

4.問題作成や問読み技術が未熟な団体の参加が難しい

5.参加するまでイメージがつかめず、伝わらない

6.問題持ち寄りということで、「公平性」が犠牲になる場合がある

 

以上のデメリットは解決できるもの、解決できないものがあると思います。特に全国展開最大の問題となるのは「デメリット2.」の「9団体を超えても未満でも運用がしにくい」ことだと考えています。よって、AQLでは「コバトンナイン」を基本としつつも、この形式のメリットデメリットと地域の状況を踏まえ、採用可否は各地域に任せることにしています。

 

また、今大きな問題となっているのが「デメリット5.」です。今回AQLを全国展開していて切実に感じるのが、参加経験のない団体に楽しさがなかなか伝わっておらず、参加が伸びていないことです。一方で、「一度以上この方式でのクイズの参加した団体」が多い関東圏の社会人はコバトン方式のリピーターとなってくださっています(ありがとうございます!)。今回、こういった企画意図や大会結果について積極的に情報発信しているのは、そういった事情もあるわけです。ですので、参加した皆様も、ぜひネット等で感想を書いて下さいね。

(「デメリット4」については、ジュニアの部で別途延べます。)

クイズは年齢関係なく楽しめる

抜群のチームワークで、見事全勝優勝を飾った「玉Q」
抜群のチームワークで、見事全勝優勝を飾った「玉Q」

さて、それでは「コバトンナイン」発祥の地・埼玉にて行われたAQL開幕戦でもある「一般の部」を振り返ります。

今回は、過去のコバトンカップに参加していた埼玉ゆかりの「玉Q」「KICKS」「浦高OB」などの加え、前述の「9団体」に合わせるため、東京東部の中で少しでも埼玉に縁がある団体に埼玉リーグに移籍して頂きました(ご理解いただき埼玉での出場をOKしていただいた団体の皆様、ありがとうございます)。

結果は地元クイズサークル「玉Q」が優勝。2位の「OBA-Q」と共に、3月17日に行われる全国大会に進出となりました。また、クイズマジックアカデミー愛好者が集まった「熊熨斗会」が近似値で競われる地域間プレーオフに進出となりました。 

順位 チーム 勝点 結果
1位 玉Q 8 0 0 16 1600 304 1296 全国大会進出
2位 OBA-Q 7 1 0 14 1508 261 1247 全国大会進出
3位 熊熨斗会 5 3 0 10 1053 832 221 地域間プレーオフ進出
4位 東京大学クイズ研究会埼玉支部 5 3 0 10 1016 926 90  
5位 クイズサークルKICKS 3 5 0 6 821 1072 -251  
6位 東京問答会バナナクラブ 3 5 0 6 836 1110 -274  
7位 グランドスラム 3 5 0 6 802 1172 -370  
8位 浦和高校クイズ研究会OB 2 6 0 4 521 1264 -743  
9位 グランドスラムセピア 0 8 0 0 384 1600 -1216  

詳しい結果はこちら

 

さて、勝ち上がることができなかった中から、2つほどの団体にスポットを当ててみます。

正解に喜ぶ、グランドスラム会長・脇屋さん。
正解に喜ぶ、グランドスラム会長・脇屋さん。

まずは、「グランドスラム」「グランドスラムセピア」の2団体です。

グランドスラムは今年設立25周年を迎えた老舗サークル。歴史と共にメンバーも高齢化してきましたが(笑)、今回出場した2チームは年齢を吹き飛ばす若々しいクイズをされておりました。私は中学生から高齢者まで分け隔てなく楽しめるのがクイズの良いところだと思っています。「ベテランまでクイズを楽しめる」ことを見事に体現しているのがこのサークルではないでしょうか。成績としては両団体とも振るいませんでしたが、丸一日楽しそうにクイズをする姿が印象的でした。

浦和高校OBチーム。かつて高校生クイズで活躍したレジェンドたちも、懐かしみながらクイズに挑みます。
浦和高校OBチーム。かつて高校生クイズで活躍したレジェンドたちも、懐かしみながらクイズに挑みます。

そしてもう一つ取り上げたいのが浦和高校OBチームです。ここ10年の高校生のクイズブームは勢いがあり、数多くの高校クイズ研が生まれています。その一方で、高校卒業と共にクイズから離れる人は非常に多いのが現状です。前述のようにクイズは本来年齢に関係なく楽しめるもので、この状況は非常にもったいないと考えております。そんな中この浦和高校OBチームは「コバトンカップ」に長く参加し続けています。コバトンカップの場が「仲間と一緒に行う、趣味としてのクイズ」を細く長く続けるきっかけになるならば、主催者としてこれほど嬉しいことはありません。このようにAQLは、問題さえご用意いただければ大学・高校のOBチームも歓迎ですので、宜しくお願い致します。

 

以上、320問の早押しクイズ勝負は、午前の3時間であっという間に終了しました。終了後、午後用事がある何人かの社会人の方は午前でお帰りになりました(もちろん、午後のジュニアの部のお手伝いや、フリバ等で残った方が大多数です)。昨今のクイズ大会は8時間程度のものが主流となっておりますが、「クイズが好きでも第一の趣味でない」という方、ご家庭などの事情で長い時間をかけられない方も多くいらっしゃると思います。そんな中、「3時間という短時間で、濃密な早押しクイズの時間を楽しんでいただく」というのも一つのやり方かなと、私としては考えております。

 

さて、次回は「ジュニアの部」の主催者レポートに移ります。