AQL埼玉レポート【3】「ジュニアの部」

ジュニアの部の問題作成は?

浦和一女vs開智高校。開智高校は大会デビュー!
浦和一女vs開智高校。開智高校は大会デビュー!

このシリーズの最後となる「ジュニアの部」のレポートです。

過去の『コバトンカップ』では、「一般の部」「ジュニアの部」と言った年代による区切りはありませんでした。

しかし、ここ数年の関東(および関西)のクイズ界では、主に大学生世代の急激なレベルアップに伴い、「大学生以上」と「高校生以下」の実力差が非常に激しくなっていると私は感じております。例えば毎年3月に行われている『abc』というクイズ大会でも、高校生の予選通過者が大幅に減る傾向にあります。

 昨今の状況を踏まえ、今回コバトンカップをAQLとして全国リーグ化するにあたり、大学生以上の「一般の部」と高校生以下の「ジュニアの部」を明確に分ける判断をさせていただきました。もちろんこれは今の判断であり、将来的に大学生以上の初心者サークルを対象とした「チャレンジリーグ」や、逆に高齢の方を対象にした「シニアリーグ」などを作る構想や、年代に関係なく実力別に分けるといった構想はあります。ですが、プレ大会となる今回はまず「一般」「ジュニア」で運営させて頂きたいと思っています。

 

さて、ここで前回ブログで言及したデメリット

「4.問題作成や問読み技術が未熟な団体の参加が難しい」

について改めて考えてみます。

 埼玉で行ってきたコバトンカップでは、これまで中高の団体にも40問の問題を用意していただいていました。実際、3月の第6回大会をテレ玉のニュースで取り上げていただいた際には「コバトンカップの最大の特徴は、全参加者が問題を持ち寄ること」と紹介されていました。「問題作成も含めてクイズ」というのは主催者も理想とするところではありました。

 しかし、中高生全チームが問題作成に回ると、全く慣れてない初心者中心のチームがうまく問題を作れないケースがあります。問題の完成度がある程度以下になってしまうと、その問題で対戦する団体の公平性に波及してしまうのが難しいところです。もちろん、コバトンカップでは出場を重ねる毎に問題のクオリティが上がっていく高校もあったり、実際に素晴らしい個性的な問題を披露したりと、「全チームが問題を作る良さ」もありました。

 以上を踏まえると「中高生にも40問の問題を作ってもらうか」についての判断は非常に難しかったのですが、今回の埼玉リーグは午前の一般の部に参加する9団体の問題があることもあり、「問題は社会人サークルが作る」「中高生が手伝うのは司会や得点付けのみ」という形で統一させていただきました。この結果運営は安定しましたが、中高生側に問題を作るという経験をしていただくのも重要だったと考えております。来年以降の埼玉がどうするかはまだ決めておりません。

 こうして今回のジュニアリーグは社会人が用意した問題で競ってもらうことになったわけですが、これはこれでいくつか問題が発生しました。それは「社会人の常識ベースで作った問題を中学生に読んでも、あまり答えが出ない」という現象がいくつか起きたことです。いくつかの社会人団体は中高生向けに午前と午後で問題を変える独自の工夫をしていました(感謝します)が、これを全チームに強要するのは一般参加チームの負担を増やすことにつながるので、難しいところです。次回以降の課題としたいと思っております。なお、参加する中高生の側は、「社会人の作る問題」を予測して対策を立てたチームもあったようです。

 

以上、このシリーズでは単なるレポートではなく、「埼玉地域代表」としての考えを色々記述しました。こういったことを考えるのは「各地域代表」になります。各地の代表が、各地の参加者たちの意見を聞きながら、各地の事情を踏まえルールを決めていくことになります。全国で統一されていないことにわかりにくさがあり申し訳ないのですが、「各地の意志をベースに、みんなでつくる、自由なAQL」というのが基本です。他地域開催の参考という意味も込めて、あえてブログにて細かな企画意図を記載致しました(こういうのに興味がない方、ごめんなさい!)。

「コラボ制度」が生んだ社会人・学生の交流

「ナイスファイト!」コラボチームの浦和一女に声援を送る伊沢君。
「ナイスファイト!」コラボチームの浦和一女に声援を送る伊沢君。

さて、レポートの方に行きましょう。午前の「ジュニア新人戦」で緊張が程よく解けた新人参加者たちに、クイズ歴2年以上のメンバーが混じり、いよいよ新人戦の開幕です。

 

まずジュニアリーグの中で印象に残ったのは「コラボ制度」で生まれた名場面です。「コラボ制度」は、「社会人サークル」が問読み、「中高生」が進行を行い、協力しながら運営を進めていく制度です。

 

このコラボ制度では中高生も司会や得点付けを担当することになるわけですが、中高生の皆様も見事なスタッフワークをされていました。特に、「おおっと、今のは惜しかったですね~この誤答で苦しくなりました!」「○○は私も行ったことがありますが、とてもいい場所です。では次の問題!」など、大人顔負けの見事な司会をしていた中学1年生がおり、社会人一同舌を巻いておりました。

また、コラボ制度で「東大王」や「quizknock」などで活躍する伊沢拓司君が手助けすることになった浦和一女の皆さんは興奮気味。一女の皆さんに押し対し、伊沢君が「ナイスファイト!」と声援を送る様子は絵になっていました!

楽しくクイズを競った、ジュニアの部!

浦和高校、大事な場面での正解に思わずハイタッチ!
浦和高校、大事な場面での正解に思わずハイタッチ!

参加チームの方に目を移しましょう。大会を振り返ってまず思い出されるのが準優勝した浦和高校の勢いです。学校の伝統ともいうべき勢いをベースに一気に正解を重ねていく様子は見事でした。一方で崩れた時はあっという間に崩れる様子も印象的で、100-1のワンサイドゲームに持ち込んだ試合で、途中から4人誤答失格しまさかの2-4で敗戦。「これぞ浦和高校の伝統?」という出入りの激しいクイズだったように思います。でも、終始仲間と楽しそうにクイズに挑んでいました!

初勝利に湧く開智高校!
初勝利に湧く開智高校!

そして、もう一校印象に残ったのは開智高校です。設立申請して1か月という若いクイズ研が、初めての本格的早押しボタンを前に、チームワークでポイントを重ねていく姿は「これぞ青春!」という感じでした。見事3勝を挙げたのは素晴らしかったです。開智高校の部長さんへのインタビューは、やるクイズ支援サイト「QuizDo」でも掲載予定ですので、そちらをご覧ください。

 

台風の目ともいうべき活躍を見せた川越東
台風の目ともいうべき活躍を見せた川越東

最終的にジュニアの部で見事優勝したのは    でした。2位は浦和高校となり、埼玉県内のクイズの強豪がワンツーフィニッシュを決めた形です。3位は川越東高校。途中まで全勝でトップを走り、県内の「  ・浦和の2強体制」に風穴を開けるか注目されましたが、2位浦和に得失点差で惜敗することになりました。プレーオフからの勝ち上がりに期待したいと思います。

順位 チーム 勝点 結果
1位  栄東中高A 7 1 0 14 1475 155 1320 全国大会進出
2位 県立浦和高校 6 2 0 12 1238 244 994 全国大会進出
3位 川越東高校クイズ研究部 6 2 0 12 1172 497 675 地域間プレーオフ進出
4位 栄東高校 5 3 0 10 981 554 427  
5位 栄東中A 5 3 0 10 561 763 -202  
6位 開智高校クイズ研究会 3 5 0 6 316 860 -544  
7位 県立川越高校/城西大付属川越高校 2 6 0 4 455 1082 -627  
8位 浦和第一女子高校 1 7 0 2 271 938 -667  
9位 栄東中B 1 7 0 2 26 1402 -1376  

詳しい結果はこちら

4人ながら善戦した川越/城西川越連合チーム
4人ながら善戦した川越/城西川越連合チーム

他、4人での参加となりながら奮闘した川越・城西川越の連合チームや、文学系を中心に独特の知識が印象的だった浦和一女など、どのチームも仲間と共にクイズを楽しんでいたように思います。

 

 

皆様も、全国各地で開催されるAQLへ!

以上、大会主催者目線でのAQL埼玉リーグ・第7回コバトンカップのレポートを書いてきました。

主催者としての感想は、「大人も、子供も、それぞれの立場で、みんなが目いっぱいクイズと交流を楽しんだ一日だった」ということです。多くの参加者が楽しそうに帰っていく様子は、主催者冥利に尽きました。また、新たな出会い・友情・愛(?)も多数生まれたようで、こういった場が新たなつながりに寄与できたのは、本当に嬉しいことです。

 

AQLはこれから全国各地で開催されていきます。「全国大会」を目指す方も、ただ地元で交流したい方も、大歓迎です(全国大会は辞退OKですので、ご安心を・・・。さすがに主催として交通費を出せない以上、仕方ありません。)

これをご覧になったみなさんも、AQLで、各地のクイズファンたちと、一緒にクイズを楽しみませんか?

興味があれば、ぜひあなたの近くで行われる大会の地域公式サイトへ!

 

AQL会長/AQL埼玉リーグ地域代表 市川

  

【注】本レポートにおいて、学校側からの要請等で、一部学校の活躍の様子を記載できませんでした。結果、取り上げている学校にやや偏りが出てしまったことを、お詫びしたいと思います。なお、写真及びレポート内容について、参加者及び学校関係者からの削除要請や、事実誤認の修正等は柔軟に受け付けますので、問題がある方はこちらまでお願い致します。