『第1回作問甲子園』審査委員総評&8/20生放送での発表について

『第1回クイズ作問甲子園』にご参加いただいた皆様、ありがとうございます。「42問の作問」というかなり参加ハードルの高い企画だったにもかかわらず、35校と多くの学校にご参加いただきました。心より感謝致します。

 

現時点で、審査委員9名、プラス「センバツ実行委員会(代表して輿が担当)」による審査が終了し、結果がまとまりました。

 

本結果は、8月20日(金)18時からニコニコ動画『クイズLIVEチャンネル』にてオンエアされる『第2回夏のセンバツAQLベスト4ラウンド』の放送内で発表します!

番組内では19時頃(予定)から、何人かの審査委員と共に上位の結果をお届けしたいと思います。また、「第2回夏のセンバツAQL」決勝戦は、ミドルリーグ以下で「作問甲子園審査結果トップ」となったチームの問題で競うことに致しました。

 

なお、審査委員の皆様は、どの問題がどの学校が作ったかは、当日オンエアまで明かしません(現状、センバツ実行委員会のみ)。

 

審査委員から総評が届きましたので、先に公開致します。なお、本問題は9月26日の「埼玉チャレンジリーグファイナル」まで使用していく予定ですので、そこまで各学校へのコメントをはじめ、問題詳細に関わる記述は非公開とさせていたきます。

 

 

近藤仁美

力作ぞろいの1500問、楽しく審査させていただきました。難易度設定やジャンルの取りそろえに苦労したチームが多かったようですが、その甲斐あって、本番が待ち遠しくなる問題群が出そろいました。また、今回の審査は大変勉強になりました。私は本職のクイズ作家ですが、皆さんの問題を拝見しながら、面白い切り口や興味深い話題提供の仕方はまだまだあるなと感じることができました。ありがとうございます。そして、お預かりした問題からは、女性プレイヤーの増加も感じられました。プロ作家は圧倒的に男性が多く、女性はここ10年以上私のみなので、「もしかしたら今回参加された方の中からお仲間ができるかも!」と楽しみになりました。それにしても(実行委員会注:出題に関わるので現時点では省略)

 

神野莉子

まずはみなさん、42問の問題作り、本当にお疲れ様でした。1人で全ての問題を揃えた方やみんなで協力して揃えた学校もあると思います。総括して工夫を凝らした問題が多く、問題採点に非常に迷いましたが、今回は特にAQLで読む問題ということを念頭に選ばせていただきました。作品名を『』で囲っていなかったり、誤字脱字が目立つ問題が複数見受けられました。問題提出前に目を通すことで防ぐことができるので、目を通す癖をつけるといいと思います。

 

高橋太郎

得点を付けたチームはどこも完成度の高い問題群で、評価をするのに非常に難儀しました。その中でも、審査前に出したコメントのとおり、チームの色が出ていることを判断基準として順位付けを行いました。得点を点けなかったチームも味のある問題群がとても多く、一問一問楽しみながら、かつ真剣に読ませていただきました。コメントでは偉そうなことを書いてしまっていますが、これはあくまで、どうにか順位を付けなくてはならないために今回に限り設けた評価基準に照らし合わせた場合に言えることを淡々と綴っているだけです。チームのみなさんで作問という営みを全うし、それを少しでも楽しいと思っていただけたなら、この企画は大成功だったと考えています。

 

鶴崎修功

今回私がとった採点方法をお伝えしておきます。

まず、42問の各問題を、読んだときの自分の感想に応じて、次のように10点満点で評価しました。

・問題に間違い・納得できない点がある→4点以下、基本的に4点

・ギリギリセーフだなと思った→5点

・まあいいんじゃないかなと思った→6点(ここまでは自分なら出さないかもしれないという感触です)

・悪くないね、出してもいいねと思った→7点

・いいじゃん!と思った→8点

・かなり好き!と思った→9点(レア)

・ベタ褒め!→10点

10点は出しませんでした。9点もほとんどなく、大体の問題は6点~8点におさめるようにしました。

その後、全体的な評価として次の項目を設けました。

・かぶり、偏りが目立つ→-20~0まで5点刻み

・難易度が難しすぎる・易しすぎる→-20~0まで5点刻み

・配置がよく考えられている、工夫がある→-20~+20まで5点刻み

・このセットで勝負すると私は楽しい→-20~+20まで5点刻み

・このセットで勝負して私は納得できる→-30~+30まで5点刻み

最後に、正当とは思われない理由で提出が遅れた学校は-5点しました。

42問が全部7点だと素点が294点になるので、300点を超えたチームはかなりよかったのではないかと思います。

300点以上のチームは合計10チームで、点数順で最終的な評価をつけました。

1位・2位のチームは342点・341点となりました。改めて見直して比べた結果、1点の差をひっくり返すことなく順位をつけました。この2チームは特に非常におもしろく読ませていただきました。

さて総評ですが、問題を見ていて私が思ったことはたくさんあります。みなさんの作問に変な影響を与えたくなかったので、問題募集時点では何も話さないようにしましたが、ここで1つだけ私の考えをお伝えしようと思います。それは、「そのフリは、本当につけたくてつけているのか?」と考えてほしい、ということです。

元素を問う問題で、締めを「原子番号○○、元素記号××の元素は何でしょう?」としている問題が非常に多く見られました。これは確かによく聞かれる定形のフリですが、みなさんが元素を問うときに本当に聞きたいことでしょうか?

「答えを1つに確定する」という観点ならば、「原子番号だけ」「元素記号だけ」のほうがよくならないでしょうか。「答えの元素そのものの簡潔な説明を与える」という観点からは、もっと別の落とし方にしたほうがよくならないでしょうか。

もちろん、いろいろな可能性を考えた上で「私は原子番号と元素記号で説明する、原子番号を覚えている人のために先に原子番号を出す」とするならそれはよいことです。しかし、あまりそこまで練られているとは思えない問題が散見されました。

私が高得点をつけた問題は、不定形のものもあれば、定形のものもあります。なので、定形が悪いということはありません。最終的にクイズとして読むときにおさまりがいい、過不足なく答えの言葉を説明するように考えられていると感じられた問題を高く評価しています。

ともあれ、私は別に作問をつかさどる神ではないので、へーそんな意見もあるんだな、無視しよっ!くらいに捉えてもらうのが最も気楽でよいことです。事前の審査基準の繰り返しになりますが、審査よりも、出題者・参加者としてAQLを楽しめたかどうかをもっとも大切にしてください。それでは、またお会いしましょう。

 

実行委員会注:「鶴崎さんがつけた一問一問への評価」をまとめたExcelも、ご本人のご厚意で全ての問題について頂きました。ただし、本人曰く「相当厳しく採点した」とのことで、学校によってはショックを受けるのではないか、ということを心配されておりました。これを踏まえ、「厳しい評価も受け止める覚悟がある」という申告があった学校にだけファイルを送付させていただく予定です。

 

徳久倫康

既存の問題や辞書の説明を引き写すのではなく、自分の言葉でいちから表現しようとしている問題が多く、嬉しかったです。

ただ、こういうものほど言葉が過剰になってしまいがちなので、なるべく時間をかけて単語を精査したり、情報を削ってあげたりすると、ますます完成度が高まるはずです。

今回はまだ「原石」の段階であったり「磨きが足りない」と思うような問題が多かったです。でも宝石は宝石であって、みなさんが発掘した1問1問は、ぴかぴか光る模造品よりずっと価値があります。せっかくなので大切にしてあげてください。"

 

 

中林もも

フレッシュな問題に多く触れられて楽しく採点させて頂きました。

(実行委員会注:出題に関わるので現時点では省略)などの流行り物は取り上げている学校が多く、AQLらしい傾向だと思いました。

作問時にはさまざまなアプローチがあり、個性的であること、事実に即していること、フェアであること、など多岐にわたる観点からより「良い」と思うものを高く評価しました。

貴重な青春の1ページを作問に費やして頂きありがとうございます!

 

 

能勢一幸

まずは35校もの参加があったこと、驚きとともに非常に楽しく審査させていただきました。各校も学校の名を背負って初心者への問題を揃えるという経験は非常に貴重なものだったと思います。

初心者への出題であるため、全体的に取り組みやすい問題であることを前提としつつ、その中に個性のある問題が含まれているものを高評価としました。

また、初心者への配慮という意味で二択問題を用意したチームにも配点しました。

問題群は色々な「愛」を込めることで輝きを増していきます。誰もがクイズを始めた段階では「問題を与えられる」ことからスタートしますが、この大会を通じて次の段階である「クイズ問題を与える」ことにも磨きをかけてください。

 

 

東問

今回は各問題を以下のように分類して採点しました。

A評価:いい問題。高く評価できる。+15点

B評価:そのまま出題できる。+5点

C評価:題材は悪くないが、問題文など要校正。-1点

D評価:一部事実誤認がある、改題が必要。-5点

E評価:嘘問、大きな事実誤認がある。-10点

42問の合計点をチームの得点とし、その得点の高さで評価しました。(43問以上を提出しているチームは、42問分に圧縮して換算しています。)

上位校はC評価以下の問題が1~2問と、そのまま出題できる問題群でした。流石としか言いようがありません。

C評価以下の問題が多くなってしまった問題群は、出題するには手直しが必要な部分が多いです。問題を作った後に一度声に出して読んでみたり、部内で押してみたりと、作問者以外のダブルチェックが入ると改善されると思います。

各校、光る問題がいくつもあり、楽しませて頂きました。これからも沢山問題を作って腕を磨いていって欲しいです。

 

 

三木智隆

多くの問題を送っていただき、ありがとうございました。問題の審査員は初めての行為でしたが、みなさんの力作を楽しませていただきました。普段見ている日常の景色でも、視点を変えると、新たな発見があると思います。その一部をクイズという形に落とし込む行為に、もっと触れていただけたら、うれしいです。